第4回 大阪芸術文化交流シンポジウム「現場の視点から地域アーツカウンシルの〈仕組み〉を紐解く」登壇者紹介・メッセージ

総合司会

中西美穂(なかにし・みほ)

大阪アーツカウンシル統括責任者

京都精華大学美術学部卒業、大阪大学大学院文学研究科文化形態論博士後期課程修了、博士(文学)。平成19年度国際交流基金知的フェローシップ(フィリピン)派遣、平成23年度新進芸術家海外研修制度特別派遣研修員(文化庁)。元NPO大阪アーツアポリア代表理事。主な論文「大阪アーツカウンシルの現場から : 包括的な文化振興の基盤構築にむけて」(2019年)、「参加型〈裁縫〉アートの一事例 : 「アジアをつなぐ」展参加作品《HOUSE OF COMFORT》のワークショップを中心に」(2017年)。2018年4月より現職。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
芸術はすべての人々の人生に欠かせないものです。今回のシンポジウムでは、芸術と人々の多様な関わり方を可能とするアーツカウンシルの仕組みを議題としました。各地の現場からの知識や想像力が、コロナ禍を超える芸術活動のエンパワメントの一助になることを願います!
そして、素敵で頼りがいがある各地域のアーツカウンシル関係者を大阪で紹介できることをうれしく思います!!

目次

開会の音楽

天王寺楽所 雅亮会(てんのうじがくそ がりょうかい)

「天王寺楽所」は、聖徳太子在世の頃に四天王寺に設置されたという伝承を持つ雅楽演奏組織である。聖徳太子の年忌法要である「聖霊会」を中心に四天王寺由縁の舞台で千四百年にわたって、雅楽や舞楽の演奏を受け継いできた。独特の舞態を持った天王寺舞楽(「聖霊会の舞楽」)は、国の重要無形民俗文化財に指定されている。明治維新以降は、明治十七年に民間人によって設立された「雅亮会」が天王寺舞楽の伝統を受け継ぎ、「天王寺楽所 雅亮会」と名乗り、聖霊会の舞楽をはじめ、四天王寺における法会舞楽、住吉大社、嚴島神社の奉納舞楽に毎年参仕し、大阪フェスティバルホールで毎秋自主公演会を催している。昭和五十三年のアメリカ・カーネギーホール公演をはじめ、海外公演経験も豊富である。また、数多くの受賞歴を持っており、令和二年には伝統芸能ポーラ賞(地域賞)を受賞した。平成二十六年には楽頭であった小野功龍が恩賜賞・日本芸術院賞を受賞した。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
天王寺楽所は、聖徳太子以来、芸術・芸能の日本最古の拠点の一つである四天王寺で、1400年にわたって雅楽を演奏し続けてきた団体です。
本日のシンポジウムの冒頭で演奏させていただくことを光栄に思いますとともに、我々の音を通じて大阪の伝統的な演奏「現場」の一つを感じていただければ幸いです。

第1部 各地の地域アーツカウンシル事例紹介

進行

山中俊広(やまなか・としひろ)

大阪アーツカウンシル委員
インディペンデントキュレーター

1975年大阪生まれ。大阪府立大学経済学部卒業。大阪芸術大学大学院芸術文化研究科博士前期課程修了。学芸員、ギャラリー勤務などを経て、2012年よりキュレーターとしての活動を開始。奈良県内の芸術祭・アートプロジェクトのディレクターを経て、現在は大阪府茨木市の「HUB-IBARAKI ART PROJECT」のチーフディレクターとして、現代美術と地域資源、一般市民、行政機関をつなぐ企画をおこなっている。現代美術ギャラリー「the three konohana」代表、大阪芸術大学・近畿大学非常勤講師。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
地域アーツカウンシルに従事されている全国各地の方々による現地での活動事例の紹介から、芸術・文化についての考え方や向き合い方には、地域の違いだけでもとても多様で広がりがあることを、改めて認識していただけると思います。自分の身の回りの芸術・文化の特徴や性質はどのようなものかを積極的に見つめ直し、私たちが日々触れている芸術・文化をより豊かにしていくための仕組みを深く考える機会になればと思います。

登壇者

山森達也(やまもり・たつや)

アーツカウンシルみやざき(公財)宮崎県芸術文化協会 プログラムディレクター

1980年神奈川県相模原市生まれ。静岡文化芸術大学大学院文化政策研究科修士課程修了。民間企業での営業業務や映像制作を行う。2009年に浜松創造都市協議会の事務局長、日本文化政策学科事務局長を兼任。2011年認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ入社。「スタ☆タン!!」「のヴぁテレビ」「表現未満、文化祭」の企画立案を担当。2019年6月アーツカウンシルみやざきプログラムオフィサーに就任。2021年4月よりプログラムディレクターに就任。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
宮崎県は今年、国文祭・芸文祭を無事に終えることができました。コロナ禍の開催ではありましたが成功であったと自負しております。アーツカウンシルみやざきは令和元年に設立し、新型コロナの影響を受けて文化芸術活動の大きな転換点を迎えるに当たり、重く大きい役割を担っています。そしてそれは全国のアーツカウンシルも同じことだと思います。新しい時代において何ができるのか、皆様に教えていただければ幸いです。


杉浦幹男(すぎうら・みきお)

アーツカウンシル新潟(公財)新潟市芸術文化振興財団 プログラムディレクター

1970年、東京生まれ。東京藝術大学美術学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科修了。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員、映像産業振興機構京都事務所長、沖縄県産業振興公社ハンズオンマネージャー、沖縄アーツカウンシルプログラムディレクターなどを経て、現職。実践女子大学、群馬県立女子大学非常勤講師。おかやま文化芸術アソシエイツアドバイザー。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
近年、全国各地で専門人材による文化芸術の支援組織・地域アーツカウンシルが設立されています。コロナ禍で、文化芸術活動自体が困難となる一方で、表現することの大切さが改めて実感されています。
2016年9月にアーツカウンシル新潟が設立されてから5年が経過しました。地域-生活の場-での支援や社会課題を解決する文化芸術の可能性と課題について、これまでの取り組みから、そのヒントとなるお話ができればと思います。


高田佳奈(たかた・かな)

おかやま文化芸術アソシエイツ(公社)岡山県文化連盟
公益社団法人岡山県文化連盟事務局/おかやま文化芸術アソシエイツ担当

公益社団法人岡山県文化連盟主任。日本ファンドレイジング協会認定ファンドレイザー。2008年に入職。チーフコーディネーターとして年間200件実施する学校出前講座を総括。2017年からおかやま文化芸術アソシエイツ(地域アーツカウンシル)を担当しプログラムオフィサーを兼務。さらに認定ファンドレイザーとして、文化芸術にとどまらず幅広い分野の相談業務やマネジメント研修の講師も務める。主なアーツカウンシルに関するテキストに「地方都市における総合的文化団体の役割と意義 : 文連からアーツカウンシルへ (特集 政策の充実・継続に向けて)」(『地方自治職員研修 』2017年、50(10), pp24-26)

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
以前に、中西さんが言った「誰に聞けば答えが得られるかをちゃんと知っている人こそ専門家」という言葉が、ずーっと刺さっています。地域アーツカウンシルの持つべき専門性の本質のような気がするからです。各地域アーツカウンシルの現状を知ることで、文化芸術の・・・もとい、地域の専門家として働く我々の仕事に関心を向けていただくきっかけになればうれしいです。


八巻真哉(やまき・しんや)

京都府文化スポーツ部文化芸術課 地域文化創造促進事業担当

2015年6月より京都府文化スポーツ部文化スポーツ芸術課に所属し、京都府域での文化芸術による事業企画の実施・運営等にかかわる。現在は地域文化振興担当として、アーティスト・イン・レジデンス事業や京都府地域文化創造促進事業等のプログラムディレクターを務める。京都府地域文化創造促進事業では、文化活動を支援する専門人材(地域アートマネージャー)を京都府の広域振興局に配置し、それぞれの地域で文化活動を支援する体制を作っていっている。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
「京都府地域文化創造促進事業」はアーツカウンシルといえるのか?
京都府の文化芸術政策の企画立案や遂行、地域の文化芸術活動への助成、調査研究等を実施する取組体制について、お話しさせていただきます。


上田假奈代(うえだ・かなよ)

堺アーツカウンシル 堺市文化観光局文化部文化課 プログラムディレクター
詩人

奈良県吉野生まれ。2003年大阪・新世界で喫茶店のふりをした拠点アートNPO「ココルーム」をたちあげ、2008年西成・釜ヶ崎に移転。2012年まちを大学にみたてた「釜ヶ崎芸術大学」、2016年「ゲストハウスとカフェと庭ココルーム」開設。大阪市立大学都市研究プラザ研究員。大手前大学国際看護学部 非常勤講師。2014年度 文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞。著書に「釜ヶ崎で表現の場をつくる喫茶店 ココルーム」フィルムアート社。大阪でアーツカウンシルを考える会世話人。
(Photo by 成田舞)

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
14年前「大阪でアーツカウンシルをつくる会」を始めたとき、全国あちこちの地域アーツカウンシルの活動を夢想していました。市民や様々なセクターと文化芸術をつなぐ専門性を有する仕事。それらは地域と、地域を越えて、ゆるやかにネットワークし、お互いの知見や経験をひたひたとシェアしてゆきます。コロナ禍のなか、そんな日がやってきたことが嬉しく、耳を澄まして立ちあい、日々の活動にいかしていきたいと思います。

第2部 ディスカッション

進行

権田康行(ごんだ・やすゆき)

大阪アーツカウンシル委員
伊丹市立文化会館(東リいたみホール)館長

1978年富山県生まれ。高校で演劇部に入り、俳優ではなく、劇場の裏方に憧れる。伊丹市文化振興財団に入職。いたみホール開館準備室を経て、アイホール(市立演劇ホール)副館長を務め、各舞台公演を見守り、サポートしてきた。在任中、全国7カ所を巡演する演劇作品『とおのもののけやしき』も担当。現在は、伊丹市昆虫館や伊丹市立美術館などの管理を手掛ける同財団に所属しつつ、関西の小劇場を巡り、多様な演劇人と出会い続けている。

○今回のシンポジウムについて、ひと言メッセージ
アーツカウンシルの委員を務め始めてから4年目になりますが、出会った方に「何しているの?」と聞かれた時に、どのように伝えたらいいか、戸惑うことが多いです。まだ各地のアーツカウンシルができて日が浅いこともあり、人々にとってもアーツカウンシルの印象は曖昧なのではないでしょうか。各地の事例から地域のアーツカウンシルとは何なのか、この機会に改めて共に考えてみたいと思います。

コメント

古後奈緒子(こご・なおこ)

大阪アーツカウンシル委員
大阪大学文学部准教授

1972年大阪生まれ、大分育ち。舞踊史、舞踊理論研究。2000年より京阪神の上演芸術のフェスティバルに記録、批評、翻訳、アドバイザー等で関わる。大阪大学大学院文学研究科文化動態論専攻アート・メディア論コース准教授。アーツカウンシル委員としての視察をとおして、上演芸術の博物館のような大阪の多様性を実感しています。


志村聖子(しむら・せいこ)

 大阪アーツカウンシル委員
相愛大学音楽学部准教授

東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。九州大学大学院芸術工学府修士課程を経て、同博士後期課程修了。博士(芸術工学)。相愛大学音楽学部准教授。単著に「舞台芸術マネジメント論—聴衆との共創を目指してー」(九州大学出版会、2017)、共著に「はじまりのアートマネジメント 芸術経営の現場力を学び、未来を構想する」(水曜社、2021)ほか。2019年度より相愛大学「伝統芸能コーディネーター育成プログラム」統括責任者を務め、大阪における伝統芸能の担い手育成のあり方を理論・実践の両面から考察している。

登壇者

上田假奈代(堺アーツカウンシル 堺市文化観光局文化部文化課 プログラムディレクター/詩人)
杉浦幹男(アーツカウンシル新潟(公財)新潟市芸術文化振興財団 プログラムディレクター)
高田 佳奈(公益社団法人岡山県文化連盟事務局(おかやま文化芸術アソシエイツ担当))
中西美穂(大阪アーツカウンシル統括責任者)
八巻真哉(京都府文化スポーツ部文化スポーツ芸術課 地域文化創造促進事業担当)
山森達也(アーツカウンシルみやざき(公財)宮崎県芸術文化協会 プログラムディレクター)


第4回 大阪芸術文化交流シンポジウム
「現場の視点から地域アーツカウンシルの〈仕組み〉を紐解く」
(202年2月26日開催・主催:大阪アーツカウンシル)
※開催詳細はコチラ

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