大阪から「美術/アート」を拓く 第Ⅰ部 登壇者紹介・アンケート
総合司会紹介・アンケート
中西美穂(なかにし・みほ)
大阪アーツカウンシル統括責任者
○現在、主にどのような活動をおこなっていますか?
大阪府市の文化政策を審議する大阪府市文化振興会議の部会である大阪アーツカウンシルで、大阪の芸術文化に関する調査や、支援に関わる審査や企画に統括的に携わっています。
○「美術/ アート」活動を通じて実現したいことは?
「美術/アート」は社会を拓く力を持つ。その功罪の構造を考えながら、全ての人々がより良い「美術/アート」に接する機会をつくるための基盤づくりをしたい。
○大阪の「美術/アート」状況について思うことをお聞かせください
今回のシンポジウムで紹介しきれないほど、さまざまな活動が沢山ある。特に現代美術においてはストリートカルチャーや音楽などと親和性が高い表現がありオルタナティブシーンで楽しそうに活動している。また国立国際美術館やみんぱく、各大学院では国際レベルの高次の美術 アート評論が紡がれつづけている。民間の芸術支援もある。一方でこれらを俯瞰するような「大阪の 美術/アート」という視点や語りがほとんどないように思う。この「大阪の」という視点がないのは、大阪府と大阪市の美術行政がここのところ活発でなかったため、地域(大阪)の美術という視点や語りが発信されてこなかったことも一要因だろうと考えている。
○登壇されるシンポジウムへの期待や意気込みなど、ひと言メッセージをお願いします
総合司会として、登壇される方々が気持ちよく発言できるような場づくりを心掛けたい。そして登壇者や聴講者とともに「大阪から 美術 /アート を拓く」機会にしたい。
第Ⅰ部 大阪府市補助金・助成金事業における「美術/アート」2018-19年度
大阪府市の補助金・助成金事業は、2018年が総数177件、2019年が総数186件の採択となりました。その内訳や傾向、今後の展望などを、大阪アーツカウンシル委員及びアーツマネージャーから報告します。
登壇者 山中俊広、江藤まちこ、野添貴恵
登壇者紹介・アンケート
山中俊広(やまなか・としひろ)
インディペンデントキュレーター
大阪アーツカウンシル委員
○現在、主にどのような活動をおこなっていますか?
大阪アーツカウンシルでは月一回の部会に参加し、大阪府市の文化事業の評価・審査、調査、企画に関わっています。最近は地域型アートプロジェクトでの活動の比重が高まり、現代美術と地域資源、一般市民、行政機関をつなぐことを考える企画に携わることが多くなっています。
○「美術 /アート」活動を通じて実現したいことは
・企画で関わるなど発表のサポートをした作家が、100年後の「美術/アート」の歴史に残るようにしたい。
・一般層の「美術/アート」の認識・理解を高める環境を作りたい。
・「美術/アート」の従事者が、直接・間接的な活動で安定した生計を立てられる環境づくりに寄与したい。
○大阪の「美術/アート」状況について思うことをお聞かせください
全国や海外に大きく存在感を示すような動向は多くない印象ですが、様々な表現者や企画者がいて、自由に活動できる環境を有した地域であるように思います。「美術/アート」の権威的な存在があまり目立たないため、活動をするにあたって日本国内の他都市と比べ美術に関わる業者間でのしがらみが少ないことが大阪の大きな魅力であると思います。
その分、小規模な活動が多い傾向にありますが、そういったものの中には「美術/アート」への独自の視点や、大阪内外との新たな連携を模索する動きもあり、今後これらの活動が継続することにより、活動規模および「美術/アート」の領域拡張を期待できるものも随所に見受けられます。
一方で、世代間の価値観の違いによって、活動の連携や企画の拡充・波及が円滑に進まない状況も所々で目にします。それぞれの世代で「美術/アート」の定義や範囲が異なることは明らかですが、若い世代の活動を見守りつつ、新しい発想を認めた上で、各世代の価値観が平等に扱われる現場環境が大阪に広がっていくことを願っています。
○登壇されるシンポジウムへの期待や意気込みなど、ひと言メッセージをお願いします
私が担当する第1部では、府市の補助金・助成金事業を紹介しますが、この採択事業の分布は、大阪の「美術/アート」の多様性を映す鏡の一つであると思います。今後この府市のシステムが、さらに様々な活動を受容できるように、そして多くのみなさんに積極的に活用したいと思ってもらえるようなプレゼンテーションに努めたいと思います。
江藤まちこ(えとう・まちこ)
アートスペース勤務
事務局スタッフ
大阪アーツカウンシルアーツマネージャー
○現在、主にどのような活動をおこなっていますか?
大阪アーツカウンシルのアートマネージャーとして大阪府市の補助金・助成金事業の視察などを行っている。個人としては現代美術スペースの事務局スタッフとして働きながら、西成のココルームや釜ヶ崎芸術大学を手伝ったり、個人的に表現企画をしたりしています。芸術はわりと幅広くいろんなものを鑑賞しますが、ここ数年は特に盆踊り、踊り念仏、雅楽舞楽、浄瑠璃などの語り芸や声を使ったパフォーマンスに興味がありアンテナを張っています。
○「美術/アート」活動を通じて実現したいことは
とどのつまりは、思いやりが増えますように。
○大阪の「美術/アート」状況について思うことをお聞かせください
大阪は地方都市といえども大都市なのでいろんなところから来て活躍されている方が多いと感じていますが、磁力を持ち続けることが必要不可欠だと思います。大阪中之島美術館の開館でより活性化されるのではないかと楽しみですし、限定的な名称にされなかったことで一層期待が高まっています。
○登壇されるシンポジウムへの期待や意気込みなど、ひと言メッセージをお願いします
今回、話題提供の準備にあたり山中委員や他のアーツマネージャーと協働させていただき、とても勉強になりました。大阪の「美術/アート」をより俯瞰して見られるよう本シンポジウムから学びたく思います。
野添貴恵(のぞえ・きえ)
大阪アーツカウンシルアーツマネージャー
○現在、主にどのような活動をおこなっていますか?
2019年度より、大阪アーツカウンシル アーツマネージャーとして、 大阪府市の補助金・助成金事業の視察などを行っている。
○「美術/アート」活動を通じて実現したいことは
「美術/アート」活動に触れることで、気付きや思考を得て、心身ともに健康で文化的な生活を送りたい。
○大阪の「美術 /アート」状況について思うことをお聞かせください
取り組まれている表現が多様で数もあり、地方に比べるとやはり都会だなと感じるが、もっとのびのび楽しく活動がはじめられたり、継続発展できる状況になればと思う。
○登壇されるシンポジウムへの期待や意気込みなど、ひと言メッセージをお願いします
第1部では、取り組まれている事業の一側面の紹介になるが、それでも何かのきっかけとなり、表現活動の場に足を運んでもらえるような場にしたい。
第2回大阪芸術文化交流シンポジウム 大阪から「美術/アート」を拓く
(2020年1月25日開催・主催:大阪アーツカウンシル)