大阪から「美術/アート」を拓く 第Ⅲ部 登壇者紹介・アンケート
第Ⅲ部 大阪から「美術/アート」を拓く
大阪にはさまざまな美術/アート活動を行っている若い人材が豊富である一方、彼ら/彼女らの世代が、大阪全体を考えながら意見交換する機会はほとんどありません。次世代の大阪の美術/アートシーンを拓いていくために、必要なことはなにか?国際的な視点があり、多彩なバックグラウンドを持つ登壇者の方々とともに、大阪の「美術/アート」のこれからを考えます。
登壇者 後藤哲也、シーズン・ラオ、宮本典子、木坂 葵
登壇者紹介・アンケート
後藤哲也(ごとう・てつや)
近畿大学文芸学部文化デザイン学科 准教授
○現在、主にどのような活動をおこなっていますか?
・グラフィックデザインに関する研究と実践
・デザイン、アートの領域における自律的な国際交流プログラムの企画・運営
○「美術/アート」活動を通じて実現したいことは
アーティストあるいは美術関係者との協働においては、展覧会等の狙い・魅力を、視覚を通じて伝わるものにすることが自分の仕事となります。それらの協働を通じて、より多くの人々が美術/アートにふれる機会を提供できればと考えています。
○大阪の「美術/アート」状況について思うことをお聞かせください
文化に投入される予算の少なさにはいつも困らされます。それが故に草の根の活動が面白いという状況もありますが、それにしても、もう少し文化に関する寛容さがあればと思います。
○登壇されるシンポジウムへの期待や意気込みなど、ひと言メッセージをお願いします
主に視覚デザイン領域で活動していますので、ひとり場違いな気もしていますが、いわゆる業界の方々とは異なる視点を提示できればと考えています。
シーズン・ラオ
無所属,芸術家、UNKNOWN ASIA審査員など
○現在、主にどのような活動をおこなっていますか?
作家として活動。アートフェア出展などのため海外と日本を行き来することが多いです。 大阪発のアーティストフェア「UNKNOWN ASIA」では、若い日本人の受賞作家の企画展を毎年マカオで開き、紹介しています。
○「美術/アート」活動を通じて実現したいことは
人々の精神性を高めること。 また今までの欧米中心のアートから、東洋にある哲学を現代にぶつけること。
○大阪の「美術/アート」状況について思うことをお聞かせください
アートフェアがあり、新鋭アーティストが東アジアのギャラリーに登場する機会があると思います。 また商人の町の特徴もあり、カルチャーから現代美術まで様々なジャンルのイベントが多い印象があります。
○登壇されるシンポジウムへの期待や意気込みなど、ひと言メッセージをお願いします
新しい美術館とこれから万博があります。大阪のアートシーンを知る貴重な機会と思っています。
宮本典子(みやもと・のりこ)
A. 一般社団法人日本現代美術振興協会 事務局長
B. アートマネジメント&コンサルティング office N 代表
○現在、主にどのような活動をおこなっていますか?
上記Aの主な事業としては、アートフェア「ART OSAKA」の運営。その他展覧会やアートイベントの企画運営。
上記Bの主な事業としては、「capacious」というプロジェクト名で障がいのある作家の作品を美術マーケットに紹介等。
○「美術/アート」活動を通じて実現したいことは
日本(関西)における、アートコレクションを通じた現代美術の活動支援が広がることを目指して活動している。特に、現代美術を全面的に支援してくださるような民間の企業の方に、1社でも2社でも、本当に少数でいいので出会いたいなと思っています。
○大阪の「美術/アート」状況について思うことをお聞かせください
今回のシンポジウムの開催主旨にあるとおり、過去に大阪府や大阪市等の行政が主体で行ってきた「大阪トリエンナーレ」や「大阪・ハンブルク友好都市に関連する現代美術展」等を通じて、大阪にゆかりのある若手・中堅作家が、そのキャリアを次の段階に展開できるような挑戦できる場があったように思います。私が大阪で現代美術の仕事に関わるようになったのは、それらの行政による主体的な活動が残念ながら終息しつつある2007年頃からなので、当時のアートシーンにおける行政主体の事業の役割や、重要性等をタイムリーに感じることができないのですが、ただそれはやはり意義のあるものだったと推測します。
また、少し前に「大阪府20世紀美術コレクション」をデータベース上で拝見する機会がありました。大阪のアートシーンが動いているにも関わらず、その名の通り 2000年以降の以降の現代美術のコレクションが全く形成されていないことに驚愕して、同時代に活動し ている作家や作品が、後世に引き継がれないこと=私達の文化が無かったことになってしまう危機感を感じました。大阪ほどの都市規模であれば、行政だけでなく、民間企業や、公的な文化機関、民文化事業を行う(支援する)民間企業、大学、そしてアーティスト本人、多様な所属の方が関わりながら、質の高いレベルで、自分たちの同時代の美術文化を形成していくような動きが出てくればと思います。
○登壇されるシンポジウムへの期待や意気込みなど、ひと言メッセージをお願いします
シンポジウムをきっかけに問題点を明らかにしたり、現状を共有するだけでなく、それを改善したり足りないところを発展していくような、具体的な動きが起こるといいなと思っております。
木坂 葵(きさか・あおい)
千島土地株式会社 地域創生・社会貢献事業部 所属 一般財団法人おおさか創造千島財団 事務局長
○現在、主にどのような活動をおこなっていますか?
千島土地および千島財団では、「KCV(北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ)構想」を提唱し、北加賀屋エリアを「芸術・文化が集積する創造拠点」として再生することを目指し活動すると同時に、大阪全体で行われる芸術・文化活動の支援と、関西の芸術文化の発展に貢献することを目的としています。
○「美術/アート」活動を通じて実現したいことは
閉塞感を帯びた現在の社会で、新しいシステムを構築し、より良く生きる方法を見い出し、多様な価値観を共有し、認め合える社会づくり
○大阪の「美術/アート」状況について思うことをお聞かせください
群れることなく、トレンドに流されず、自分を信じてやっていこうとする方が多いように感じます。
○登壇されるシンポジウムへの期待や意気込みなど、ひと言メッセージをお願いします
美術/アートを取り巻く環境の変化を皆さんがどう感じていらっしゃるのか、色々お伺いしたいです。
第2回大阪芸術文化交流シンポジウム 大阪から「美術/アート」を拓く
(2020年1月25日開催・主催:大阪アーツカウンシル)