大阪アーツカウンシルは、他の自治体が設置する文化振興財団内のアーツカウンシルとは異なり、審議会形式で運営されています。大阪アーツカウンシルは文化事業の実施を目的とする機関ではありませんが、「評価・審査」「調査」「企画」の3つの活動を通じて、審議会(=カウンシル)としての役割を果たし、大阪の文化芸術の環境整備に取り組んでいます。
現代社会において、経済合理性があらゆる判断の基準となり、効率が最優先される時代が続いています。その結果、生活が息苦しく、生きづらさを感じる方が増えているのではないでしょうか。このような時代だからこそ、文化芸術が果たす役割は一層重要であると私たちは考えます。文化芸術は単なる娯楽ではなく、社会全体で共有し、守り育むべきものであり、人々の心に潤いを与え、社会的結束を支える「精神的インフラ」としての役割を担っています。
このような文化芸術の存在は、個人の生活や社会全体にとっての共有財産、すなわち「文化的コモンズ」として捉えることができます。「コモンズ」とは、共有資源を指し、誰もが自由にアクセスし、共に利用できるものを意味します。文化芸術もまた、私たちすべてが享受し、守り育むべき共有財産であり、それを守ることは社会全体の豊かさを保つために不可欠です。
この「文化的コモンズ」を支え、その自治を実現するためには、行政や自治体、文化芸術関係者、そして市民一人ひとりが連携し、それぞれの役割を果たすことが重要です。大阪アーツカウンシルは、これらの異なる主体が共に文化芸術を支え、その価値を享受できるように活動を展開しています。
また、文化芸術の分野では、価値観や立場の違いから、府民・市民や自治体、さらには同じ文化芸術関係者同士の間でも、コミュニケーションがうまくいかないことがあるかもしれません。そうした中で、大阪アーツカウンシルは、異なる意見や想いを調整し、円滑なコミュニケーションを促進する「架け橋」として機能し、大阪の文化芸術が持つ無限の可能性を最大限に引き出すことを目指しています。
これからも、大阪の文化芸術の発展に向けて全力で取り組んでまいります。大阪アーツカウンシルの活動にご理解とご協力を賜り、共に大阪の文化を支え、未来へと繋いでいくことができれば幸いです。
宮崎 優也